図書館の本棚には、たくさんの本が並んでいます。
お目当ての本など特になくて、
あてもなく、ただぼーっと、順に本を眺めていると、
そこだけ光っているように感じたり、
なんだか気になって仕方がなかったりするときがあります。
この本もそんな一冊でした。
恩田陸「夜のピクニック」です。
(最近、恩田さんにはまっているのかな?)
運動の苦手な私からすると、
朝の八時から翌朝の八時まで歩くという夜間歩行なんて、
とんでもなく避けたい行事をする高校生たちのお話。
でも、高校時代に、こういう行事があったら、
またちょっと違ったのかなとも考えてしまいます。
多少の仮眠を取るにしても、
夜通し歩いて、
みっともない姿を友人に見せたり、見せられたり、
しょうもないことをだらだら話したり、
だけど、その中で、
これから生きていく上でのとても大切ななにかに、
気づいたりすることもある。
そういう過酷な状況に臨めるほど、
私は根性がないので、
実際に「やりましょう」などと言われたら、
思いっきり辞退してしまいますが、
学生時代になら、
しんどかったけれど、
でもやり遂げた想い出となったのだろうなぁ。
人としての《核》を作るこの時期に、
周りの愛おしい友人たちとの、
苦しさを一緒に乗り越えてきた体験って、
強烈な想い出になるのだろうな。
そしてまた、心に抱えたわだかまりを、
溶かしていく手助けをしてくれる友人たちの存在。
それは、一生の宝物となる存在なんだろうなぁ。
『何かの終わりは、いつだって何かの始まりなのだ』
(恩田陸「夜のピクニック」新潮社より)
高校時代も、たった三年で終わってしまう。
切ないけれど、そこで培った大切なものは、
形は変わっていくかもしれないけれど、
ずっと後まで続いていく。
今にして思えば、
高校なんて、本当に短い間だったと思います。
でも、その中に、ぎゅっといろんな物が詰まっていました。
いろんな事に悩んだり、笑ったり、励ましたり、励まされたり。
そういう体験をして、
次の《始まり》に進むための勇気を、もらっていたのかもしれません。
あの頃、
自分も一生ものの素敵なものを手に入れていたんだなと、
今更ながら、気づいたりしています。
うれしいな。
今日もまた、お読みいただきまして、ありがとうございます。
いっぱいの感謝と愛を込めて